泌尿器科を訪れる人の症状
泌尿器科を受診する患者さんによくある症状と考えられる疾患をまとめてみました。これがすべてではありませんので参考程度に見てみてください。
- 血尿
- 蛋白尿の心配
- 膿尿
- 頻尿,夜間頻尿
- 尿失禁
- 残尿感
- 排尿時痛
- 排尿困難,尿閉
- 無尿(尿閉との違い)
- 腰痛
- 陰嚢腫大
- 精巣痛(精巣捻転症)
- 下腹部痛
- 勃起不全
- 血尿
血尿を起こす疾患は多種多様にあります。以下に年齢によって考えられる疾患をあげてみました。もちろんそれ以外にもあると思いますが、大事な事は他の症状(痛みや排尿困難など)があるかどうか、目に見える血尿があるかどうかです。出ている場所も腎臓だったり、尿管(腎臓と膀胱を繋ぐ管)、膀胱、尿道とそれぞれ特徴がありますので検査をして判別していくことになります。
- 蛋白尿の心配
蛋白尿は多くは腎臓の障害によって起こります。腎臓の炎症である糸球体腎炎や糖尿病の悪化によって腎障害が出た場合、高血圧にて動脈硬化が進んだ場合にも出ることががあります。他に慢性心不全などでうっ血が強くなったりした場合にも蛋白尿が出ることがあります。
- 膿尿
多くは膀胱炎や腎盂腎炎などの細菌感染によって起こります。繰り返す場合残尿が多いなどの神経因性膀胱や、前立腺肥大症などの病気から起こることがあります。抗生剤治療を行っても良くならない場合には耐性菌といって抗生剤が効きにくい菌に感染している場合や、結核菌などの特殊な菌に感染している場合が考えられます。
- 頻尿,夜間頻尿
昼間の頻尿が主体か、夜間の頻尿が主体かによって病気が異なる場合があります。男性であれば前立腺肥大症や、尿道狭窄などの排尿困難を来す場合が考えられます。女性であれば神経の働きがうまく伝わらず尿意を早く感じてしまう過活動膀胱という病気の他に残尿が多く、出きらないため少し貯まるだけで尿意を感じてしまう神経因性膀胱や、後述する尿失禁があるためにそれが起こる前に無意識にトイレに行ってしまう状態が考えられます。特に夜間頻尿の場合には実際に出ている尿量が多い夜間多尿という状態で頻尿が起きている事も考えられます。他にいびきを良くかく人が呼吸が止まってしまう睡眠時無呼吸症候群によって夜間頻尿になっている人もいます。
- 尿失禁
尿意を感じてからトイレに行くまでに間に合わない切迫性尿失禁と、咳やくしゃみで漏れてしまう腹圧性尿失禁があります。他に認知症がある場合、知らないうちに出てしまっている認知症の一つの症状として出ている事も考えられます。脊髄に異常があり、反射的に尿が漏れてしまう反射性尿失禁と言うこともあります。
- 残尿感
残った感じがしているのか、実際に残ってしまっているのを感じているのかの鑑別が重要です。膀胱炎を起こした場合、実際には貯まっていないのに膀胱が過敏になってしまって残尿感を感じることがあります。前立腺が大きい場合、大きな前立腺によって膀胱の尿意を感じるところが刺激されて残尿感を感じることがあります。神経因性膀胱で残尿が多くなり、残尿感を感じることもあります。
- 排尿時痛
排尿するときに痛む症状です。多くは細菌感染による尿路感染に伴って起こりますが、ウイルス感染や、前立腺肥大症や尿道狭窄などの尿道圧迫の症状として痛みを感じることもあります。
- 排尿困難,尿閉
男性であれば前立腺肥大症や前立腺癌の尿道を圧迫された際の症状として排尿困難や尿が出なくなってしまう尿閉を起こすことがあります。女性であれば神経がうまく伝わらなくなった神経因性膀胱が考えられますが、骨盤臓器脱(膣から臓器が下垂して出てきてしまう)の症状として排尿困難を感じることもあります。ある種の風邪薬や不整脈の薬などで尿が出にくくなったりで無くなったりすることもあります。
- 無尿(尿閉との違い)
膀胱に尿がたまっているのに出なくなってしまうのを尿閉というのに対し、膀胱に尿がたまらずに出なくなってしまうのを無尿と言います。心不全や脱水で尿が作られなくなってしまった場合の他に、尿管が結石や腫瘍などで両方とも閉塞してしまった場合、薬剤などで腎臓自体の障害が起こり尿が作られなくなってしまった場合が考えられます。腎不全になってしまうので早急な対応が必要です。
- 腰痛
どちらかの側に偏位して腰痛が起きた場合、腎臓の疾患によって起きた可能性があります。尿路結石や尿管腫瘍、腎腫瘍によって起こることがありますが、まれに腎梗塞(腎を栄養する血管が詰まってしまう)によって起こることもあります。
- 陰嚢腫大
陰嚢が大きくなってしまう病気で一番多いのは陰のう水腫と言って、炎症などによって水がたまるようになってしまう病気です。子供の場合、鼠径ヘルニアによって陰嚢内に内臓が降りてきてしまうことがあります。他に痛みを伴う場合には精巣上体炎の可能性もあります。まれに腫瘍が出来たり、結核によって陰嚢が腫大することもあります。
- 精巣痛(精巣捻転症)
10歳頃から20代までの男性で急に痛みが起こった場合には精巣がねじれてしまう精巣捻転を考える必要があります。この場合には遅くなると精巣が壊死してしまうため、時間との争いで治療に踏み切ります。出来るだけ早くの受診が必要です。他には精巣上体炎や、精索静脈瘤で痛みを伴う場合もあります。
- 下腹部痛
男性であれば前立腺炎を起こしている可能性があります。そのほかに尿路結石が膀胱近くまで降りてきている場合下腹部痛を感じることがあります。長時間座っている職業の方などは原因不明の骨盤痛症候群になっている可能性もあります。女性であれば膀胱炎によって下腹部痛を感じることが多いですが、婦人科系の疾患(子宮や卵巣など)の可能性もあり、区別が必要です。他にまれな疾患として原因不明の間質性膀胱炎があります。
・ 勃起不全
年齢的な問題の他に動脈硬化、糖尿病や骨盤の術後などに勃起不全が起こることがあります。それらの基礎疾患が隠れていないかの確認が重要です。非常にデリケートな部分なので精神的な要素で起こることもあります。治療としては適応があればバイアグラ、シアリスなどの薬で治療することが多いです。これらの薬が適応にならない方は必要に応じて漢方薬を使うこともあります。